図書館からはじまる



こんなことは、誰にも相談できない。


朝一番で銀行に行き、お金を引き出した。


その足で、いつもの駅へと向かう。


薗田さんは、すでに到着していた。


近くにある、カフェに入りコーヒーを二つ頼んで、早速本題について話し出した。


「持って来てくれた?」


「はい」


「迷惑かけるね」


私は、カバンの中から封筒を出し、薗田さんに渡した。


「これです」


「ありがとう。助かるよ」


「いいえ。お役に立ててよかったです」


「実は、母の体調が悪化して、数カ所に転移してるんだ。で、来週また、緊急手術が予定されてるんだ…」


薗田さんは、さっきとは全く正反対の表情になった。


「それで、あと100万円貸してもらえることはできるかな?」


「100万円ですか?」


私は、それなりに貯金はしてきた。


将来できるかわからない結婚のために…


「結構大きい額ですね…」


「うん…俺も出すんだけど、足りなくて…君しかいないんだ!こんなこと頼めるのは…」


「そうなんですか…
用意しておきます。いつお渡ししたらいいですか?」


「土曜の朝にここで…」


「わかりました」


そう言うと、薗田さんはすぐ「ありがとう、じゃあ」と言って、店を出て行った。




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