図書館からはじまる
〜8〜
★ ★ ★
有紗は、相変わらず何も喋らず窓の外を眺めている。
「有紗、なんで彼女のこと平手打ちなんかしたんだ?」
「…」
「有紗がそんなことするなんてな…」
「宗輔が、私のこと放ったらかしにするからだよ」
「あの時、俺と彼女が一緒にいるところ見てたんだろ?」
「…」
「そうなんだろ?」
「そうだよ。二人でいるところをずっと見てた。それで、宗輔がいなくなって、あのでかい女呼び出して、引っ叩いた…」
しばらく、沈黙が続き俺から切り出した。
「もう、俺、有紗とは付き合えない。有紗よりも彼女のことが好きなんだ」
「やだ、やだ、やだ、私、宗輔と別れたくない」
有紗は、俺に抱きついてきた。
「ごめん」
俺は、冷静に有紗から身体を離した。
「なんで、あんなでかい女…」
「自分でもわからない」
「…」
「ごめん。俺と別れてほしい」
沈黙が続き、有紗は小さい声で言った。
「…わかった」
その後、何も言わずに車を降りて行った。
ふぅー…
振られるより、振るほうが体力いるし、精神的にも疲れる。
これでいいんだよな?
俺、本当にのっぽさんが好きなんだよな?自問自答する。