図書館からはじまる
次の金曜日、俺は、また図書館に行った。
すると、約束通りにのっぽさんは、カウンターにいてくれて、俺の対応をしてくれた。
横に櫻子さんが来て言った。
「宗輔さん、よかったですね」
「本当によかったよ」
「お二人ともいい顔されてますよ」
のっぽさんと俺は、顔が赤くなり、お互い目が合い、すぐに逸らした。
のっぽさんは、あの日よりも顔色が良く、前よりも綺麗になったような気がした。
「警察からの連絡はあった?」
「いいえまだなんです」
「そっか…早く捕まってくれたらいいのにな…」
のっぽさんは、何とも言えないような複雑な顔をしていた。
今日は、いつも通りに本を借り、図書館を後にした。
そして、次の週の金曜日に図書館へ行くとすでに保がいた。
「おっ!宗輔くん。やっぱり来ましたね」
「今日さ、やっと食事一緒に行ってくれるんだ」
保は、嬉しそうに言ってきた。
「仕方なくですよ」
櫻子さんは、ハニカムように言ってきた。
「じゃあ、お邪魔しないようにしないしないとな…」
「そうだ!宗輔。
宗輔も、瞳子ちゃんを誘えばいいんじゃないか?」
「俺は、今のままでいいよ…」
「絶対に大丈夫だと思うのにな…」
そんなことを言われても、のっぽさんがどう思っているかは、わからない。
俺は、いつものように本を選びカウンターへ持って行った。
「これ、よろしく」
「はい。お預かりします」
「連絡はあった?」
「それが、昨日捕まったらしいです」
「そうなんだ、よかったな」
「はい…」
「なんだ、嬉しそうじゃないな…」
「そうですか?でも、複雑で…どうしてあんなことしてしまったのかな?とか、お母さんは本当にガンじゃないのかな?とか考えてしまって…」
「ねぇ、今日さ、帰り待っててもいい?」
「え?あ、は、はい…」
もっと、もっとのっぽさんのことが知りたくて、話がしたくて、誘っていた。