図書館からはじまる



「心配して頂いてありがとうございます」


話を切り出したのは、のっぽさんだった。


「いや、俺、あいつのこと許せないだけだから」


「太田さん、お食事いきませんか?」


「私、食べたいものがあるんです」


「おお、行こう」


のっぽさんから誘われるとは思っていなかったから、なんか嬉しくなってしまった。


のっぽさんに連れられて来たのは…


「ここでいいの?」


「はい。私、すっごく好きなんです。ここが」


そこは、チェーン店の廻る寿司…


「カウンターの寿司屋とかでもいいのに」


「私、ここに来るとワクワクするんです」


「そうなんだ…」


「もしかして、太田さん来たことないとか?」


「あ、あるよ…」


「本当ですか?」


「1、2回ぐらいだけだけど…



「そんなに少ないんですか?
やっぱり、いいお店でしか食べないんですね…」


「だから、そんなことないって!」


「まっ、行きましょう」


「ああ」


俺は、のっぽさんと食事が出来ることが嬉しくて、廻る寿司が安いくせに美味しくて、会話も弾んで楽しいひと時になった。


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