図書館からはじまる
〜9〜
☆ ☆ ☆
「え?」
太田さんの忠告聞けなかった…
心配してくれてる…
なんとも言えない…
付き合ってなんかない…
私は、あなたが気になるから…
「間違ってたら、ごめん。
そいつにお金とか、貸してないよね?」
貸してしまいました…
「やっぱり…」
だって…だって…
「ごめん。俺、はっきりしか言えなくて、傷つけたら申し訳ない。けど、言わないともっとのっぽさんが傷つくから…」
「はい…」
「あいつ、詐欺師らしい…」
「…薄々感じていました…」
「じゃあ、なんで?忠告したのに…」
だって…
お母さんのこと言われたら…
私は、母のことが大好きだった。
いつも、優しい母は私の自慢だった。
小さい頃は、母が髪を結ってくれて、母に髪を触られるのが大好きだった。
料理も上手で、美味しいものをたくさん食べさせてくれた。
お菓子作りも好きで、クッキーやケーキ、オリジナルのお菓子を作ってくれた。
そんな母と重なる…
今、お母さんがいる人が羨ましい。
薗田さんのお母さんの為になるならと、私は薗田さんにお金を貸してしまった…
太田さんに、どうしてお金を貸してしまったかの理由を話した。
薄々わかってはいたけど、実際に薗田さんの話の内容が「きっと嘘だよ」と言われると、泣きそうになった。
ついに涙がこぼれてしまった。
………
その瞬間私は、太田さんの胸の中にいた…
抱きしめられてる…
また、胸の奥がザワザワ…
でも、このザワザワがドキドキに変わって、心拍数が上がる。
太田さんの胸の中は、私より少し背が低いけど、そんなことは感じないほどの安心感といい香りがした。
「ご、ごめん」
そう言って、太田さんは私から離れて、椅子に座った。
「許せねぇな、被害届出したほうがいいかもな」
私の為に言ってくれてる…
私は、何も言わずに頷いた。
「一緒にいくよ」
太田さんは、私よりも年下なのにとても頼り甲斐があって、安心感がある。
初めに感じた印象とは全く違った…
益々好きになっている…
でも、太田さんには彼女いるよ…