図書館からはじまる

「早めに被害届出した方がいいだろ？」


「そうですね」


「今から行ける？」


「はい」


本当に一緒に行ってくれるんだ。


祖父に今から外出することを伝えて、冷やかされた。


元さんにも冷やかされた。


祖父たちは、二人でいるのが本当に楽しそう。


太田さんは、車を出してくれ警察署まで行き、被害届を提出した。


その間、私はとても不安できっと顔に出ていたんだろう…
太田さんが私の手を握ってくれた。


太田さんは、また安心感を与えてくれ、それが嬉しくて、握り返していた。


安心感と被害届を出した、安堵感か入り混じり、帰りの車で知らないうちに涙が出てきた。


「今日は、本当にありがとうございました」


そう言った私の肩を太田さんは引き寄せて、頭を数回撫でてくれた。


「早く、捕まってくれたらいいな」


「…はい」


家に着き車を降りて、太田さんにお礼を言い、家に入ろうとしたら、手首を掴まれた。


「もう、避けないで会ってくれるかな？」


「私、避けてなんかいません…」


「じゃあ、俺が図書館に行っても事務所に行かないで、俺の対応してくれる？」


「…は、はい」


「よかった」


また、太田さんに抱きしめられた。


また、胸の奥のザワザワが…


「あ、あの…苦しいです…」


「あ、ごめん…」


私は、恥ずかしさのあまり自分でもわかるくらい顔が真っ赤になっている…


早くこの場から離れたくて、元さんを呼んで来ると言って家の中へ入った。


「ただいま」


「元さん、車で太田さんが待っています」


「おぉ、瞳子ちゃんお帰り。どうだった？宗輔と上手くやっていけそうか？」


「そ、そんなんじゃないです」


「上手くいくと思うんだけどな〜。なっ、富ちゃん」


「わしも、そう思う！」


「もう、二人して！」


「じゃあ、わしは帰るとするか…富ちゃん、また来るよ。瞳子ちゃんも。ツルさんによろしく言っといてくれ」


「はい、わかりました。お気を付けて」


元さんは、上機嫌で帰って行った。