紳士な課長、愛をささやく
「ふぅん、まぁいいけど」
香苗は納得していない様子だ。
きっと、昼休みが終わったら柚音ちゃんて子に確かめるかも知れない。
原田くんが迂闊に名前を出すから、彼女にとっては完全にとばっちりだ。
「いやいや、よくねぇよ。雅史の合コン話は?」
大和は話を蒸し返す。
そんな話はどうでもいいと思うけど。
極力、私は聞かないように黙々とうどんをすする。
「頼まれたから仕方なく行っただけだよ」
「ホントかよ」
「ホントだって。俺、そういうの苦手だって知ってるだろ」
「知ってるけど。まさか、そこで可愛い子ゲットしたんじゃないだろうな」
大和はしつこく食らいついている。
あーうるさい。
仮にそんな子がいて原田くんが付き合うようになってもいいじゃない。って、私ったらしっかり話を聞いてるじゃない。
「だから、仕方なく行っただけだって言ってるだろ。広報の桐島さん主催だったんだけど、噂通りの人で正直、怖かったわ。俺、ああいう人ちょっと苦手なんだよ」
「あー、桐島さん主催だったんだな」
「そういや桐島さんが最初に狙ったヤツが気持ちいいくらい彼女をシャットアウトしてたのは驚いたけど」
「マジで?そんな強者がいたんだ。雅史、お疲れさん」
「全くだよ。当分、合コンは行きたくねぇな」
ため息をつく原田くんに大和はねぎらいの言葉をかけていた。