紳士な課長、愛をささやく

「陽菜子って黙っていればクールビューティーって感じなのに大和と話してると全然雰囲気が変わるよな。あ、もちろんいい方にだよ」

そう言って原田くんはみそ汁の入ったお椀を持ち上げる。

「陽菜っちがクールビューティー?そりゃないって」

あはは、とバカ笑いする大和をじろりと睨む。
ホント、ムカつくんだけど。
こんなアホを相手にするだけ時間の無駄だ。

「そういえば、原田くん合コンに行ったらしいね」

「マジかよー!雅史って今までそういうのは興味ないって言ってたじゃん。なんで行ったんだ?」

香苗の言葉に大和が驚きの声をあげる。

「あー、もしかして柚音ちゃん情報?」

原田くんは苦笑いしながら香苗に聞く。

柚音ちゃんというのは、確か河野柚音っていう香苗の後輩で受付をしてる可愛らしい子だ。
受付って顔が整っている人が配属されてると思うのは私だけだろうか。

「えっ?違うけど。ねぇ、どうして柚音の名前が出てくるの?」

不思議そうに尋ねると、原田くんはマズイといった表情になる。

「いや、ごめん。違うんならいいんだ」

「えー、なに隠してるの?」

「マジでなにもないから。今、俺が言ったことは忘れて!」

原田くんは必死になんでもないと言い張る。
それが逆に怪しいけどね。
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