秘密が始まっちゃいました。
「自慢じゃないけど、この状況になって、俺を拒否った女のコいないよ?」


「…………」


パニックに陥りそうな頭で必死に答えを探す。
荒神さんの薄い微笑みは、すごく色っぽい。
アルコールの香りとわずかに残るタバコの香り。それが全然嫌じゃない。
むしろ、胸が苦しいほどに鳴り響く。


「『抱かれたい男』の部屋で二人きりだって、意識してないだろ?」


「……私には……関係ないですもん……」


「へー、だからジーンズとかで来ちゃうんだ。もう少し警戒した方がいいんじゃないか?」


断じて違う。
私は彼を男として警戒していないからジーンズでお邪魔したわけじゃない。
こんなイケメン相手に物欲しそうに見えないために、この格好できたのに!

もしかして、プライドを傷つけた一端だったりする?

でも、そんなことを口にするのははばかられた。私は何も言えず、戸惑った表情で荒神さんを見上げる。
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