秘密が始まっちゃいました。
あー、これってなんなんだろ。

ただのお節介?
母性?
恋?
それとも性欲?

……うっわ、私って自分で思うより肉食系だったのかな。


会社での荒神さんは、残念ながら以前とちっとも変わらない。
自由に仕事をして、自由に周りを巻き込んでいる。
私は相変わらず彼に厳重注意をしにいく日々。


変化があるとしたら、前より距離が縮まった分、私の怒鳴り声が大きくなったのと、荒神さんの馴れ馴れしさがアップしたくらいじゃない?

そんなわけで、私と彼の作戦は、お互い思った効果を得られぬまま終局を迎えようとしていた。

なぜなら、明日の土曜日が、福谷と瑠璃の結婚式だからだ。


「荒神さん、明日、伊達メガネとマスクを忘れないでくださいよ?」


「あー、……わかった」
< 108 / 354 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop