秘密が始まっちゃいました。
私は息を吸い、がばっとテーブルに突っ伏した。


「ううっ……うぇぇぇん……」


肩を震わせ、声を震わせ、一生一代の演技。

もらい泣きしていたユカや美奈子が、私の派手な泣き姿にビビるのが気配でわかった。
しかし、すぐに『親友の日冴なら、このくらい感動して然るべき』という理解に代わったようだ。

ユカと美奈子が手を伸ばし、私の背を撫でてくれる。


「うわぁぁぁん!瑠璃ぃ……!」


突っ伏して激しくもらい泣きする私。
同じテーブルの同期はもちろん、隣のテーブルの一販課の面子も、斜め後方テーブルの社長と重役たちも私に注目している。
新郎の友人たちも、きっと『あの子、めっちゃ泣いてる』という目で見ているに違いない。

不本意だ。
不本意過ぎる。

でも、これがベスト!

なぜなら、私が大泣きして注目を集めている隙に、荒神さんがスタッフ用の出入り口からこっそり退場していたからだ。



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