秘密が始まっちゃいました。
②
レストランを出ると、そのままホテルも出て、荒神さんは歩き出す。
移動するらしい。私は馴れないパンプスがちょっと不安だったけれど、後ろについていく。
竹芝埠頭までは、それほどかからずに到着し、私の足も靴擦れを作らずに済んだ。そこには大型のクルーザーが停泊している。
「え?なんですか?」
「東京湾クルーズ」
荒神さんがさらっと答えた。
「クルーズって……そんな張り込まなくても!私、美味しいディナーで十分満足ですよ!」
「大丈夫。張り込んでない。大型クルーザーだけど、乗り合いだから、格安なんだよ」
荒神さんはそんなことを言いながら、私の手をとった。ドキンと心臓が跳ねる。