秘密が始まっちゃいました。
②
私の願いは虚しく、翌日に早速事件が起こった。
火曜日のお昼、私は真子とコンビニ新作の菓子パンをデスクに並べていた。たまにやる新商品食べ比べの会だ。
「クリームたっぷりツイスト。ショコラオレンジロール。おいしそう!でもカロリー高そうですねぇ」
真子が嬉しそうに、でも罪悪感を持ってパンを見下ろす。
私は悪代官のようにふふふと笑う。
「でしょ?でも、二人で食べれば怖くない。ほら、こっちのレーズン入りメロンパンもよくない?」
「いい!見事に甘いパンばっかりですね!私たちって悪い女!」
「ホント!悪女だぜ!」
嬉々としてパンの包装を破ろうとした私たちの耳に、鋭い声が届いた。
「望月日冴さんはいらっしゃいますか!」
私と真子は総務部の入り口を見やる。
そこには、仁王立ちの羽田さつきがいた。
その気合いの入った臨戦態勢の表情。
武将か、あんたは。
バックに法螺貝の音が響き渡っていそうだ。