秘密が始まっちゃいました。
「そうですか。すみません、早とちりでした。
昨日、荒神さんと帰ろうかと思ったんですけど、彼、私を帰したと思ってこっそりどこかに出かけたようで……てっきり望月さんとご一緒かと思っていました」


おいおい、荒神さん、巻いてないじゃん。逃げたのバレてんじゃん。

羽田さんがきりりと私を見つめる。


「単刀直入に伺いますが、望月さんは荒神さんのことお好きなんですか?」


「は!?」


私はどストレートな問いに変な表情で固まった。

そんなの……わかんない。
自分でも、この胸のごちゃごちゃした感情が謎なんだ。飲み友達ってことで、一応納得してるけど、それをこの子に言ってどう反応されるか……。

待って、待って。

っていうか、私が誰を好きとか誰とごはんに行ったとか、この張り切り女子に申告する必要ないよね?


しかし、気が弱いのかお人好しなのか、問われたら答えてしまう私。
しかも当たり障りのない答えを選ぶ。


「そういう風に思ってないよ。関わることが多いから、誤解してる人も多いみたいだけど」
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