秘密が始まっちゃいました。
私が引きつった微笑みを浮かべていると、羽田さつき女史はまだまだ言い募る。


「浮いた話のなかった荒神さんに、仲の良い女子社員がいるって聞いた時は、ぞっとしました。それが、望月さんだって知った時も、驚きました。だって、荒神さんとは正反対のタイプですし。
でもつまりは、望月さんは荒神さんにお仕事関係以上の興味がないんですもんね。あー、安心しました。これで、全力でアプローチできます」


「もし……私が荒神さんのこと好きって言ったら、どうするつもりだったの?」


念のため聞いてみる。
可能性とかの問題ではなく、目の前の軽い電波ちゃんの反応が気になったのだ。
私、抹殺されちゃうのかしら。

羽田さんはまつげびっちりの瞳をみはって言った。


「これを機に正々堂々、宣戦布告をするつもりでした!お互いに全力で荒神さんに恋しましょうって!」


やっぱりこの子、武将だわ。
電波武将女子。

でも、ある意味清々しいよ。
ここまで、はっきり言葉にしてくれて。

なんか、私の方が卑怯なことをしてる気がしてきた。
昨夜の件も、荒神さんとの以前のあれこれも……。

私と羽田さんは妙な雰囲気でカフェランチを済ませ、オフィスに戻ったのだった。


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