秘密が始まっちゃいました。

三階踊り場の荒神さんは、変わらず禁止のタバコを吸っていた。

私と食事に出掛けたりする時は、吸わないでいてくれる彼。
今は一服して落ち着きたい様子だ。

そう、荒神さんはソワソワしていた。


「何のご用事ですか？」


私はツンツンした口調で、話しかける。


「おー、望月！悪いな、来てもらっちゃって」


「忙しいので手短に願います」


タバコを携帯灰皿で消すと荒神さんは明るい表情を作った。
しかしツンツンの壁を崩さない私。
あーあ、やめようよ、このあからさまな態度。大人げないよ。


「わかった！手短に言う。困ってるんだ、助けてほしい」


荒神さんは私の苛々には気づかず、素直に依頼してきた。


「明日また、DVD観賞に付き合ってほしいんだよ」