秘密が始まっちゃいました。
「豚のしょうが焼き……とかでいいですか」


「うわ、大好き。ありがとな」


「いえ、こちらこそおみやげありがとうございます」


やっと言えたお礼にほっとしながら、私は自転車を押して歩き出した。
横を荒神さんが歩く。
コンビニに寄って飲み物の買い足しをして、更に6分。
アパートの私の部屋にたどり着いた。

「へえ、綺麗にしてるね」


部屋に入って荒神さんが感心したように言った。持ってきたバッグを室内の隅に置いて、部屋中を見渡している。

あんまり見なくていいけど、掃除頑張ってよかった!


「女子らしくないですよね」


可愛い小物やインテリアのない私の部屋。カーテンだって、ベッドだってクリーム色やベージュで色味が薄い。
フローリングの床には普通のパイン材のテーブルと、シングルベッドがひとつ。
化粧品や服類はクローゼットに押し込んであるから、余計部屋はこざっぱりしていて、女子の部屋らしくない。
< 184 / 354 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop