秘密が始まっちゃいました。
私は新宿三丁目の駅に降りていく彼女の姿を見送った。
胸の中は罪悪感でいっぱいだった。

なんてことをしてしまったのだろう。
荒神さんを守るために、羽田さんを傷つけた。

諸悪の根源をキッと睨む。
荒神さんは全く堪えていない様子で、ニヤッと笑った。




*****





それから私たちは電車で私の家に向かっていた。
荒神さんの荷物はまだ我が家にある。

並んでドアの前に立ち、電車に揺られる。
私はむすっと黙っていた。
巻き込まれて、嘘の片棒を担がされて、ちょっと電波系だったけれど真剣な女子の好意を踏みにじった。


「怒ってる?」


荒神さんが全然反省していない口調で声をかけてきた。

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