秘密が始まっちゃいました。
「怒ってます。私に嘘をつかせる気で呼びましたね」


「望月なら、うまく庇ってくれるって信じてたよ」


この男、どのツラ下げてそんなことが言えるんだ。
大嘘つき!
今にして見れば、朝のキスだって私をおびき寄せる撒餌みたいなもんじゃないか。


「羽田さんが可哀想です。あんな嘘信じて、荒神さんへの気持ちを諦めて」


「別に俺は嘘ついたつもりはないよ」


しれっと答えるのだから腹がたつ。
何が「好きな女」よ。
好意を拒否するのに都合よく使われた私の身になってみろっての。

荒神さんは続けて言う。


「さっき羽田に言ったことはほとんどホント。嘘ついたとしたら、ゆうべおまえが俺の気持ちを『受け入れてくれた』ってトコだけ」


「は?」


わからない顔をする私。
荒神さんは呆れたように頭を掻いて、ドアに寄りかかった。

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