秘密が始まっちゃいました。
「羽田の存在で、もう少し俺のこと意識してくれるかと思ったんだけどな。わざわざ腕組んでるの見せたって、たいしてやきもち焼いてくんないし。ゆうべだって、結構本気でどうにかなってやろうと思ってたのに、あっさり拒否だろ?固いとは思ってたけどやっぱ一筋縄じゃいかないな。不意打ちのキスで精一杯だった」


「何……言ってんですか……?」


「いーかげん、気付け。好きでもない女の家に行きたがるか?」


はぁ……それってぇと……。


「荒神さんは……私のことが好きってことですか」


荒神さんがにっと笑った。
それは、今まで見せてくれていた笑顔の100倍くらい悪い笑顔。
そして、100倍以上セクシーな微笑み。


「羽田の気持ちを利用したのは否定しないよ。でも、俺としても必死だったことはわかってもらいたいね。望月に男として、こっち見てもらいたかったからさ」


電車が私の最寄り駅に到着する。
私は放心状態のまま、ホームに下りる。

何、言ってんだろ、この人。
冗談キツすぎ。
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