秘密が始まっちゃいました。
私が何と答えたものかと口をぱくぱくさせていると、芳野さんがフォローにならないフォローをする。


「照れなくていいよぉ。社内のほとんどの人間が知ってるから!ともかく、やっとくっついたのね!今度、おめでとうパーティーしよう」


芳野さんは言うだけ言って、自分の席に戻っていった。
呆気にとられ、立ち尽くす私の横にささっと真子がやってきた。


「日冴先輩、羽田から話を聞きました」


うわ!やっぱり!
情報発信源なんてそこしかないもんね。

でも、なぜ朝イチで広まってるのよ。

私の疑問に偶然答える形で真子が言う。それはもう渋い顔だ。


「昨日、羽田が同期や知ってる人全員にラインで吹聴してました。スミマセン、止められませんでした」


同期の激しい噂の広め方を恥じているようだ。
私は真子に向かって、首を振った。


「仕方ないよ。結果として、羽田さんを傷つけちゃったんだし」


二年間の片想いを、横からかっさらわれた彼女の気持ちを考えれば、このくらいの報復致し方ない。
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