秘密が始まっちゃいました。
福谷が荒神さんの持っている紙袋を指差した。


「薬局行ってたんですか?」


「あー、風邪っぽくてさ」


荒神さんがなんでもなさそうに答える。問題発言も追加して。


「この前の晩、日冴んち寒かったもんな」


「なっ……!!」


言葉を失う私。
そして、ざわつく周囲。
聞こえてましたよね、皆様……。


「なんか、ゴチソウサマだわ」


湯沢さんが苦笑い。福谷も最高ににやけた顔で言った。


「ダメじゃん、望月!彼氏冷やさないように抱き締めて寝ないと!」


焦り過ぎて言葉が出ない私。
荒神さんは否定せずに笑っているだけだ。


「……もう、行きます」


その一言がやっとだった。
場の視線に耐えかねて、私は踵を返した。
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