秘密が始まっちゃいました。
「日冴って生まれはどこだっけ」


サル山を横目に見て歩きながら、荒神さんが聞いてきた。


「埼玉の、群馬に近いあたりです」


「そっか、俺、山梨」


「お互い、微妙に田舎な感じですか?」


私がにやっと笑い、荒神さんが苦笑いする。


「そうそう、微妙なレベルのな。どんな子どもだった?」


「フツーです。真面目だとは小さい頃からよく言われましたけど、自分ではあんまりそんな気もなくて。クラスでは真ん中のグループだし、高校も大学も中堅ってあたりに行きました。平凡です」


「平凡でいいじゃん。俺もだよ。泣き虫ってとこだけ隠してれば、あとはフツー」


「嘘。すごいモテてたんじゃないですか?」


「あはは、それは否定しない」


私たちの会話はいつまでも途切れない。
どこまででもこうして話していられそうだった。
お酒の席でも色んな話をしていたつもりだけど、こんな風にお互いの昔話をする日がくるなんて。
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