秘密が始まっちゃいました。
④
雨脚は強くなる一方だ。
昼頃に待ち合わせた私たちは、入園前に軽くお茶を飲んだだけ。
別館の水生物園はまたの機会にして、どこか屋内のデートに切り替えた方が良さそうだった。
「じゃあ、うちに来いよ」
さらっと提案してきたのは、荒神さんの方。
私の脳裏には深夜のカップルごっこが過ぎる。
えーと、確かあの時は『新宿デート→荒神家にてイチャイチャ』っていう提案だったような。
私はわかりやすくおののいた表情をしている。しかし、荒神さんは気にしていない様子だった。
「また、メシ作ってよ。日冴の手料理が食べたい」
「ダメですよ。お邪魔できません」
「井の頭線で帰ってもいいけど、そんなに遠くないからタクシーにしちゃおうぜ。途中でスーパーに寄ってさ」
荒神さんの中ではすでに決定事項らしい。