秘密が始まっちゃいました。
「変なことしてないって言ってるじゃん。好きな女に愛情表現してるんだよ。何しろこっちは、身体でオトすってのも視野に入れてんだから」


なんてことを言い出すのだろう。

完全に騙された。
情にほだされた。

この人、ハナからその気じゃないか!

襟ぐりが広く開いたせいで、彼の唇も舌も私の首筋から鎖骨までを自由に動く。長い指が私のブラジャーのストラップをずらす。
私の腰を支える左手が、100パーセントその腹づもりで私の背中を動き回る。

耳朶に軽く噛みつかれ、とうとう私はわずかな吐息を漏らしてしまった。
喘ぎにも似たかすかなため息を、彼が聞き逃すはずはない。
荒神さんの低い声がささやく。


「日冴がいやらしい声を出し始めたってことは、やっぱ変なことはしてないってことだよな?」


「いっ……意地悪言わないでください」


抱擁が、繰り返されるキスが、愛撫が激しくなる。
シャツの襟から覗く汗ばんだ彼の肌。彼の引き締まった身体。その中心が熱を帯びているのは、これだけ密着していれば、よくわかる。
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