秘密が始まっちゃいました。
「日冴は総務だから、あんまり印象ないと思うけど、あの人すんごいクレバーだよ?」


瑠璃が私の知らない彼の武勇伝を語り出す。


「サンカイメディックの件、知ってる?」


「サンカイメディックってサンカイグループの医療機器門でしょ?」


大手医療メーカーだ。うちと付き合いがあるとは知らなかった。


「そ。そこの海外輸出向けMRIの開発さ、飯原商事に決まってたの。それを横から丸ごとかっさらって、液晶、基盤から小さなスイッチに至るまで、ひとりで手配したのが荒神さん」


私はイマイチぴんとこないので、首をかしげる。


「それってすごいことなの?」


瑠璃が目を見開いて力説する。


「すごいよ!飯原商事なんて、うちの三倍は大きい会社だもん。しかもあっちがグループ作ってやる仕事を、たったひとりで片付けたんだから。
あと、うちが代理店やってる液晶メーカーのシャペルあるでしょ。サンカイメディックは、これを機に全面的にシャペル液晶に切り替えたんだよ。荒神さんの功績だよ!」
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