秘密が始まっちゃいました。
「なーんちゃって、さすがに妄想が過ぎたかな?そんなわけないよねー」
瑠璃はすぐに呑気な否定をしたけれど、私の心中は穏やかじゃなかった。
脳裏には荒神さんが浮かぶ。
今までのいくつもの場面。涙する彼の姿が次々に浮かんでは消えていった。
あの人が、
嘘をついていた?
涙もろいっていうのは、
実は嘘?
ううん、そんなことない。そこまでできた話、あるわけない。
私ひとりのために、そんな手の込んだ……。
でも、涙を克服するというファクターをのぞけば、私と荒神さんのしてきたことは、ただのデートの積み重ねでしかない。
そして、『私と荒神さんの秘密』である以上、この嘘で迷惑を被る人間はいない。
羽田さんの件だって、彼の計算づくだった。
「日冴?ほら、食べよ」
私が思案にはまってしまったため、瑠璃が困ったように声をかけてくる。
「さっきのはホント冗談だからね?私の得意な妄想!なんにせよ、荒神さんに想われてるんだから、日冴は日冴で結論出さなきゃね」
私はまだ心ここにあらずな表情で頷いた。瑠璃がもっともらしく続ける。
「あんまり待たせちゃ、可哀想だよ」
瑠璃はすぐに呑気な否定をしたけれど、私の心中は穏やかじゃなかった。
脳裏には荒神さんが浮かぶ。
今までのいくつもの場面。涙する彼の姿が次々に浮かんでは消えていった。
あの人が、
嘘をついていた?
涙もろいっていうのは、
実は嘘?
ううん、そんなことない。そこまでできた話、あるわけない。
私ひとりのために、そんな手の込んだ……。
でも、涙を克服するというファクターをのぞけば、私と荒神さんのしてきたことは、ただのデートの積み重ねでしかない。
そして、『私と荒神さんの秘密』である以上、この嘘で迷惑を被る人間はいない。
羽田さんの件だって、彼の計算づくだった。
「日冴?ほら、食べよ」
私が思案にはまってしまったため、瑠璃が困ったように声をかけてくる。
「さっきのはホント冗談だからね?私の得意な妄想!なんにせよ、荒神さんに想われてるんだから、日冴は日冴で結論出さなきゃね」
私はまだ心ここにあらずな表情で頷いた。瑠璃がもっともらしく続ける。
「あんまり待たせちゃ、可哀想だよ」