秘密が始まっちゃいました。
③
荒神さんは「待つ」と言ってくれた。
ただ「避けないでほしい」と条件をつけて。
戸惑う私の気持ちがゆっくりと自分の方を向いてくれることを祈って。
大人な対応なんだと思う。
これが包容力ってやつ?
……それに引き換え……、
自己嫌悪に陥りそうだ。
私は完全に子どもの対応を取ってしまった。
つまりは「避けないで」という荒神さんを、思いっきり避けまくってしまったのだ。
先週一週間、ランチの誘いも夕食の誘いも断り続け、一販課に行く用事もすべて真子に代わってもらった。
土日は瑠璃と福谷の家に泊まりに行くなんて嘘までついて彼を避けた。
最初は荒神さんの態度も余裕があった。
『そっか、また誘うよ』
なんてラインのメッセージが、次第に
『ふーん』
といった不穏な雰囲気になり、金曜日にはとうとう総務にやってきた。今度は昼休みにだ。