秘密が始まっちゃいました。
「俺がなんで呼び出したかわかるよな」


荒神さんの声は冷たい。そりゃ、そうだ。冷たくされるだけのことをしてる。


「見事に避けまくってくれちゃって。そんなに俺のこと嫌かよ」


呆れたような冷えた声に私は縮こまる。
嫌かと言われたら、嫌じゃない。
でも、好きかと言われたら、まだわからない。気まずくて顔を合わせていられないなんて、私は弱虫だ。


「ごめんなさい。そういうつもりではなかったんです」


私は言った。謝罪しかなかった。しかし、どんなに言葉を尽くしても結局言い訳だ。


「俺と付き合いたくないなら、はっきり言えばいい。もともと、おまえはそういうタチだろ?ウジウジされてると俺にも考えがあるぞ」


荒神さんの厳しい口調は、まるで部下を叱るようなものだ。
これはとうとうその時かもしれない。
愛想を尽かされてしまうかもしれない。
< 273 / 354 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop