秘密が始まっちゃいました。
泣きすぎて死ぬなんて、どんな死因になるんだろう。
干からびちゃうのかな。

私は彼の涙に反して、また笑ってしまう。
そして、その後にようやく涙が出てきた。
久しぶりに感じる熱い涙はどんどん頬を流れていく。
しっかりお化粧したのも、台無しになってしまうくらい。


あーあ、私、この人が好きだ。


泣き虫で決まらない人。
格好つけて強引に振舞ってみても、策略をめぐらせて私に迫っても、結局変わらない。
マイペースで涙もろい、困った人だ。

秘密の片棒を担ぐことから始まった私たちの関係。
友情にも母子愛にも似た私たちの関係。

その根っこの部分で恋がきちんと始まっていたことに、私は今更気付いた。

早く気付けばよかった。
早く振り向いてあげればよかった。

こんなぎりぎりになるまで、気付けない私は、真面目なんじゃない。
ただの臆病者だ。

彼の涙が、全部溶かしてくれた。
私の違和感も戸惑いも、全部。
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