秘密が始まっちゃいました。
「この調子じゃ、私たちの結婚式は完全アウトですよ」


私はおぼろげながら出始めた結婚の話を口にする。
目に見えるようだ。自分の結婚式で号泣する荒神さんが。


「ついにキャラ崩壊の時。抱かれたい男の正体は涙腺ゆるゆる男子だった!……って」


「あー、別に会社の連中にはもうバレていいよ」


荒神さんがあっさり答えた。


「そりゃ、最初はギャップ有り過ぎて、仕事しづらくなるかもって思ったけど、俺が涙の件を秘密にしたがった本当の理由は、日冴だから」


「はぁ?」


私は缶ビールをテーブルに置き、訝しく彼の顔を見つめた。
私が理由って、なにそれ。


「二人で守れる秘密が欲しかっただけ。涙を見られたのは偶然だけど、日冴が俺を庇って頑張ってくれるからさ。これは親密になるには、ちょうどいいチャンスだなって」


「出たよ、腹黒荒神」


私は渋い顔で唸った。
ただの無邪気な泣き虫じゃない。こういうことを考えてるのが食えないんだ。

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