秘密が始まっちゃいました。
「それ、彼女の手口らしいから。狙った男にはみんなやるみたいだよ」


「一販課の荒神さんもやられたんですか?」


角は苦々しく言った。

この件に関して、角の心には荒神に対する恨みがある。
彼が羽田さつきを振って、総務の望月日冴と付き合いだしたから、羽田は角に目をつけたのだ。
抱かれたい男ランキング4位。独身男だったら2位にあたる、この角良彰に。

お門違いの逆恨みなのはわかるけれど、もう少し上手く転がしておいてくれればこんなことにはならなかったんじゃなかろうか。

好きでもない女子に追い掛け回されるという苦痛……。


「好きって告白されたの?」


福谷が軽い口調で問う。角は力なく首を横に振った。


「まだです。だからきちんと断ることもできずに……」


「おまえ彼女いないなら、羽田で手ぇ打つ気にはなれない?ほら、彼女おっぱいでかいし、いいじゃん。一度くらい寝てみたら?アッチの相性が合うなら、性格くらい我慢できんじゃない?」


福谷のチャラチャラした勧めに、角はキッと目を向いた。


「誰もが福谷さんみたいなおっぱい星人じゃないんですよっ!第一、あんな変な女と寝る気になりません!」


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