秘密が始まっちゃいました。
番外編2 果報を寝て待つ余裕はない
据え膳。
そんな言葉が荒神薫の脳内を駆け巡った。
据え膳とは、まさにこの状況ではなかろうか。
目の前のベッドに望月日冴が寝ている。
荒神が見つめているとも知らず、グースカ呑気な寝息をたてている。
まさに、据え膳。
さて、どうしたものか。
番外編2
【果報を寝て待つ余裕はない】
(※本編『前夜祭と思わぬ事態②』とリンクしています)
ことの発端は、部下の羽田さつきにデートに誘われたことだった。
日曜日、映画(泣けるやつだ)に付き合ってほしいとのこと。
泣ける映画という点は懸案事項であるが、実質、荒神には一石二鳥のチャンスだった。
目下一番気になる女・望月日冴に再接近できるチャンス。
荒神の作戦は、デートを伝え望月に焼きもちを焼かせた上、涙克服を理由に彼女の家に転がり込んでやろうというものだ。