秘密が始まっちゃいました。
「結局……、涙克服できなきゃダメじゃん」
呟く声が冷えた朝方の部屋に響く。
大好きな望月の部屋に来たのに、何も出来ず、ただ彼女の寝顔を見て悶々とする時間を過ごすとは。
好きになってもらうには、涙を克服しなきゃならない。
男らしい男の方が、望月は好きなんじゃなかろうか。
それなら、自分は望み薄だ。
今だって、望月に好いてもらえなかったらと想像して、涙が出そうになのに。
「んー……」
荒神の背後ではっきりとした声が聞こえた。
起きたのだろうかと望月の方を振り向くと、彼女はうーんと伸びをして、口をモゴモゴ動かしたかと思うと、再び寝てしまった。
なんだ、寝ぼけただけか。
荒神は目線を逸らそうとして、彼女の身体に何もかけていなかったことに気付いた。
掛け布団の上に直接彼女を横たえてしまったのだ。
エアコンは一応ついているけれど、何もかけずに寝るのは肌寒いかもしれない。現に床で寝てしまった自分は少々冷えた。
荒神は立ち上がり、望月のベッドに膝をついた。
彼女の身体をこちら側に傾け、掛け布団を引きずり出そうとしたのだ。
しかし、うまくいかない。
意識のない望月の身体は立派な重石だ。
ぐいぐいと布団を引っ張りながら、肩をつかんでもう少し望月の身体を傾ける。
呟く声が冷えた朝方の部屋に響く。
大好きな望月の部屋に来たのに、何も出来ず、ただ彼女の寝顔を見て悶々とする時間を過ごすとは。
好きになってもらうには、涙を克服しなきゃならない。
男らしい男の方が、望月は好きなんじゃなかろうか。
それなら、自分は望み薄だ。
今だって、望月に好いてもらえなかったらと想像して、涙が出そうになのに。
「んー……」
荒神の背後ではっきりとした声が聞こえた。
起きたのだろうかと望月の方を振り向くと、彼女はうーんと伸びをして、口をモゴモゴ動かしたかと思うと、再び寝てしまった。
なんだ、寝ぼけただけか。
荒神は目線を逸らそうとして、彼女の身体に何もかけていなかったことに気付いた。
掛け布団の上に直接彼女を横たえてしまったのだ。
エアコンは一応ついているけれど、何もかけずに寝るのは肌寒いかもしれない。現に床で寝てしまった自分は少々冷えた。
荒神は立ち上がり、望月のベッドに膝をついた。
彼女の身体をこちら側に傾け、掛け布団を引きずり出そうとしたのだ。
しかし、うまくいかない。
意識のない望月の身体は立派な重石だ。
ぐいぐいと布団を引っ張りながら、肩をつかんでもう少し望月の身体を傾ける。