秘密が始まっちゃいました。
私は呆れつつも乾杯の準備に動く。
各テーブルに行き渡った瓶ビールを注ぎ合ってもらい、アルコールが駄目な人用のウーロン茶の確認もして……。

本日の乾杯を務めるのは、我が総務部の平野部長。
ビールグラスを持って、緊張ぎみに小さな背を丸めている。

大丈夫かい、この人。
もともと気弱いから……。
心配なので、横に控えてサポート。


「平野部長!じゃ、ここで乾杯の音頭を!」


荒神さんに言われ、よちよち立ち上がる部長。
やっぱ、心配!


「では、営業部と総務部の発展を願いまして……乾杯!」


平野部長はすっかり上ずった声で音頭をとった。
それでもメンバーが大きな声で「乾杯!」を唱和したので、懇親会は楽しい雰囲気でスタートしたのだった。

はー、ひとまず無事始まった。

私はへたりこんだ平野部長からビールグラスを取り上げ、いつものオレンジジュースを手渡すと会場の隅に戻った。


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