秘密が始まっちゃいました。
最初こそ注文をまとめたりしていた私も、開始一時間を過ぎたあたりで自由に飲めるようになった。

場は想像よりずっと盛り上がり、そこかしこで笑い声や大声の会話が聞こえる。
荒っぽい男性の飲み会の側面もありつつ、女性も食事やお喋りで楽しんでるみたい。
よかった……。


「望月さん、いつもごめんね」


話しかけてきたのは、第一販売課の湯沢(ゆざわ)さんと楠木(くすき)さん。一販課の営業事務の女子二人で、湯沢さんは私よりひとつ上、楠木さんはふたつ下だ。


「荒神さんが迷惑かけまくってて……」


「いやいや、お二人も被害者でしょ」


私が笑って答えると、二人は苦笑いする。
私たち、たぶん同じ苦労を知ってるよ。

あの、荒神薫の面倒を見てるって点で。
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