秘密が始まっちゃいました。
「あー、もう先払いで店長に支払っちゃいました。もし、足が出たら最後に教えてくれることになってます」


今日は飲み放題に大皿料理のプラン。個別に小鉢やデザートも出るけど、総額は決まっている。

追加金額が発生したとしたら、誰かが飲み放題メニュー以外を注文した時だ。


「紺野部長と澤田課長がさっき泡盛頼んでたから。それは足が出るな」


「いいですよ、お二人からは『お志』もらってますし。そこから出します」


「そっか……」


荒神さんが頷いた。


「ま、もう少し時間もありますし、荒神さんも飲みましょうよ」


私は手近にあった瓶ビールを荒神さんのグラスへ注ぐ。

なんとなく、この前の下見の晩が思い出された。
結構楽しく過ごしたあの夜。


「お、サンキュ。でも、せっかくだから、こっち飲もうぜ」


荒神さんの手には芋焼酎のボトルがある。
完全に飲み放題以外のメニューじゃないか。
< 48 / 354 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop