秘密が始まっちゃいました。
「荒神さん、……それ、私の手伝い要ります?」


素朴な疑問を投げる私。


「バカか、おまえが一緒じゃなかったら、俺は映画館でひとり号泣するオッサンになっちゃうだろーが!」


荒神さん当たり前だという顔で怒鳴る。
イヤイヤイヤ、確かにそうですけど。面白い図になっちゃいそうですけど。


「望月には昨日みたいなフォローをしてほしいんだよ。涙が止まらなくなってる俺を周囲から隠してほしい」


「周りの視線が気になるなら、家でDVDやBlu-rayを借りて観ればいいじゃないですか」


「あのなぁ、他人が周囲にいるっていう緊張感が大事なんだよ。もし、俺のプライベートスペースで観たら、恥も外聞もなく、遠慮ゼロで泣いちゃうだろーが!」


うーん、どうやらこの人は本気だ。
本気でこの作戦で涙腺を強化する気でいる。

効果あるかビミョーだと思うんだけど……。

< 67 / 354 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop