秘密が始まっちゃいました。
大作戦
①
翌週の水曜日が作戦の初日と決まり、私と荒神さんは新宿で待ち合わせた。
社内で待ち合わせなんかしない。
彼とプライベートで出かける理由を、誰かに詮索されても困るもん。
普段使うJR新宿駅ではなく、副都心線の新宿三丁目駅が待ち合わせ場所。
こちらの方が映画館には近い。出口指定で待ち合わせることにした。
やってきた荒神さんは、本日はグレーのスラックスと薄い青のストライプシャツ。
ボタンダウンの襟から見える喉仏、シャツの下に浮かぶ鎖骨までのラインが、すんごくイケております、ハイ。
「お待たせ」
「いえいえ」
かく言う私は、白のボウタイブラウスにピンクベージュのスカート。
あんまり気合い入れたくないので、飽くまでシンプルに。
でも、一応ヒールのあるパンプスにしましたよ!
イケメン荒神さんとあまりに釣り合わないんじゃ、恥ずかしいし、申し訳ないもん。
「メシ、食ってからにしようか」
「先にチケットだけ買っておきませんか?指定席の」