秘密が始まっちゃいました。
「全部、見たことあるか?」


荒神さんが心配そうに聞いてくる。
見たことある映画なら退屈だと思ったのだろう。

私は首を横に振る。


「いやー、見たことはないです。CMとか予告編とかだけ?泣けるってフレコミなのは知ってるというか」


「じゃ、いいな。見よう」


「あ、私も泣ける映画のDVDを持ってきたんで」


「ありがと。じゃ、それは最後に」


荒神さんは私が座るソファを背もたれに、ラグにどっかと座った。
私の脚の10センチ真横に荒神さんの身体がある感じ。

よかった、ジーンズにして。ナマ足だったら、無駄毛の処理具合なんかが気になっちゃって、とても座っていられなかった。

っていうか、この構図と距離感は何なんだろ。緊張する……。

私たちはそこから立て続けに三本の映画を見た。
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