10年越しの再会
reunion
『………………』
「綾…!みんな、精一杯やったよ!……確かに、負けたのは悔しいけど、でもすごくいい試合やったやん……?」
うちの高校は負けた。
ピッチャーが変わった瞬間。流れが一気に変わった。今まで木村くんの球にかすりもしなかったバッターも次々とヒットを放った。
それだけじゃない。
花田くんの球にうちのチームのバッターは木村くん以外かすることもできなかった。
当たったのは木村くんのヒット1本だけだったんだ。
『…あたしさ、勝たなきゃ意味がないって思っとった。でもそうじゃなくて、勝つことに意味があるんじゃなくて、この試合で何を得ることができたか。それが重要なんよね……』
「………綾…」
『……っ…悔しいなぁ……でも、大雅くん達は…もっと…もっともっと悔しいやんね……っ?』
「………うん、そうやね…」
私たちはしばらくの間、ずっと二人悔し涙をながしていた。