10年越しの再会
『災難続きやん』
クックッとさっきから笑っている智希。あたしが勢いでタメ口をきいてしまった男子でもある。
あんたのせいだろーが!って言いたかったけどやめておいた。
「ほっといてください。」
『え、敬語に戻るん?』
プッと吹き出して笑った。もうこらえるのはやめたのだろうか。
「別に…」
『敬語とか使わんでいいけん!あん時も言ったやろ?』
急に真剣な目でこっちを見てきた。
あん時。きっと野球の試合の後、一緒に駅まで行った時のことだろう。
焦ったあたしはとりあえず目をそらして「わかった」とだけ返事をすると、彼は嬉しそうに笑って前に向きなおったようだった。
不意に真剣な表情になったり、無邪気な笑顔を見せたり。
本当にやめてほしい。思考が追いつかなくなる。
そんな事を考えていたら1時間目を告げるチャイムが鳴り響いた。