Stray Love II 〜ナミダの軌跡〜
「…親父に殴られたんだろ?」

「まぁ…
殴られて当然だし…

ほんと、ごめん…」


「も…いーよ…」

葛藤する心から、絞り出すように吐き出した。


「あと…
夏に久美と会ったんだろ?

話してくれて、ありがとな…」

「…別に久美の為じゃねーよ」


「でも、ありがと。
それでアイツも、少しは救われたから…」



救われた…?


そっか…

考えてみれば、久美も同じなんだな…


自分が苦しんだ傷を、誰かに与える辛さと戦ってたんだ…



そうだな…

傷は付けた方も苦しむんだ。




「そして俺も…
昨日、咲陽の笑顔に救われた…」


「…だったらナオに感謝しろよ。

アタシを救ってくれたのはナオだからな…」


きっとナオじゃなきゃ、救われなかった。

ナオのおかげで傷と向き合えたんだ…



「そっか…

つーか、ショウさん落とすとか…
さすが、俺が惚れたオンナだよな」

眩しそうに微笑んだ。


「なんだよ、それ…
ヘタなお世辞いらねーよ」


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