君とカプチーノ。
プロローグ




「今年は、猛暑で──」



毎年同じように流れる
恒例行事のニュースを
切った。



クローゼットからデニムと
シャツを出すと
慣れた手つきで
ミディアムの黒髪を結ぶ。



本当は花柄のワンピースも
沢山持っているし
お洒落に疎いのではない。
ただ日々アルバイトの
掛け持ちでお洒落をする
時間が私はなかったんだ。
彼氏も好きな人もいない。



だから、このワンピースは
今年もお蔵入り



そう 猛暑
この猛暑の中私は
戦いに行く。



私は美憂花。
今年で19になる大学1回生。
家が人一倍貧乏だった為に
普段はアルバイトを
掛け持ちしながら
お小遣い稼ぎをしています



せっかくの日曜日なのに
「今日もバイトかぁー…」
1人ムンムン暑い坂道で
バイトの制服が入った
リュックを背負いながら
うなだれる。



正直、バイトは好きじゃ
なかった。
いや 好きでやっている
人なんて
そうそういないけれど。
私は普段から結構天然で
小さな失敗を連続したり
人の話を聞いてなかったり
おっちょこちょいな
ところが多かった。



その性格が災いし、
シフトを間違えて
遅刻したり
マヨネーズを爆発させたり
後から入った新人の年下も
私を馬鹿にしている。



帰って1人涙を流す の
繰り返し。
どうして私は
他のみんなみたいに
器用にものをこなすことが
出来ないんだろう。



ロッカールームで
私を見ても皆無言で
私に挨拶もせず帰って行く
『孤独』
その2文字が頭にパッと
浮かんだ。



いくらお金をもらえたって
こんなことの連続じゃ
自分自身苦しいだけだった
早く楽になりたい
ずっとそう思っている私。



世間ではきっと私みたいな
人達を「ゆとり」って
唄うのだろうな



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