強がりだけど
『綾華!』


この声を聞いただけで吐き気がする。


とっさに耳をふさいだ手は、小さく震えていた。


バッン!


勢いよくドアがあけられ、外に飾ってある私の名前付きプレートが床に落ちる。


その瞬間私は、抵抗を止める。またあいつは、私の体を抱いた。


『もっと鳴け!』

背中に酷い痛みが走った。

「きゃぁぁぁぁぁ!!!!!」

きっと煙草を押し当てられたんだろう。


この生活が始まって5年と8ヶ月。


最近は、抵抗する元気もない。早く私を殺してくれとばかり願う日々だ。

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