オーロラ ヲ 解く
「大変ッ!赤くなって、たんこぶになってる!他に怪我は……膝も擦りむいちゃってるね。とりあえず、手当てしに医務室に行こう!」
まるで自分が怪我人のように慌て、
私を気遣いながら立たせると、手をとって上って来た階段を下りはじめる。
でも――
「…呉羽ちゃん?」
不思議そうに首を傾け、ノノちゃんは私に見る。
私は繋がれた手に力を入れ、ノノちゃんを踏みとどまらせると、子供がお菓子を買ってもらえないのを駄々こねるように、頭を振って意思表示をした。
「医務室行きたくない?……でも擦りむいてるし、おでこも冷やさなきゃ…」
医務室が嫌な訳じゃないけど…今は…行きたくないだけ。
擦りむいているって言っても血は出てなし、おでこだって、自分の手を氷代わりにすればいい。