オーロラ ヲ 解く
「――ねえ」
残念なことに私は、
この酷く眠たげな男を知っている。
「困るのよね」
「は?…んだよ?」
「だから困るのよね」
「あ?」
「あなたが授業に出てくれないと」
「いみわかんねー」
「いみがわからなくて結構よ」
気怠く吐かれた口調を、さらに気怠く返せば、男はムッとした表情になる。
岩の瞼は、どうやら小石程度にはなったようだ。
「どーいう意味だ」
「授業に出ないと分からないって意味だけど」
ギュッと眉をよせた男は、なにか考えて口を開こうとしたようだけど、それを予冷が遮る。
それと共に、この場を退場しようとする私に「おい」と呼び止める男。
振り向いた先にいる男は、呼び止めたくせに無言を貫く。