オーロラ ヲ 解く
そしてこてりと首を傾けるものだから、こっちまで首が傾いた。
なんだろう、この間は――?
本鈴がなるまえに立ち去りたり私は、こてりと傾けた首を戻す。
――と。
まるでタイミングを計ったように
「――クモ」
扉からもう一人登場してしまった。
「午後から雨が、」
「………」
「………」
「………」
続きの言葉を継げないくらいには、扉から登場した男は驚いたらしかった。
私を記憶と照合するように見ていたけど「ああ」と一つ頷いたあと、口許で小さく微笑む。
「だれ、キミ?」