最初で最後の恋〜君と過ごした時間〜

「……直哉君、あたし、直哉君と居るとおちつくなあって……。直哉君と居ると時間がゆっくりに感じる…。」

「ハル………。」

やばい。すごく嬉しい。

鼓動がばくばくうるさい。


「ねぇ、直哉君。ちょっと来てもらっていいかな？」

「え？……わっ！」

ハルが僕の手を引いた。
僕は顔が真っ赤になる。

「ちょっと、走ろう。間に合わない！もっと早く行くべきだったかも。」

「ハル？間に合わないって？」

僕たちは小走りで商店街を通り、路地裏を通る。









「ハル？どこに行くつもり？！」

「着いてきて！」





路地裏を抜けると少し開けた所についた。

「わぁっ……」

そこには、ビルや街中が見渡せてとても綺麗な景色だった。街灯が光る道の様になって、空はピンク色に染まって幸せを象徴するようだった。

「間に合った…。見ててね、もうすぐだから。」

ハルが意味深が言葉を呟く。

そのとき、日が沈み始め、ビルとビルの間に丁度収まり、どんどん光を帯びて行く。

朱色が濃くなり、グラデーションになる。

どんどん濃くなり、茜色になる。

「綺麗でしょう？あたしのお気に入りの場所なの。悲しい事とか嬉しい事があったらココに来るの。どうしても、直哉君に教えたかったから。」


ハルが僕の為に自分のお気に入りの場所を教えてくれたと言う事が僕はたまらなく嬉しかった。



「うん、すごく、綺麗だね。教えてくれてありがとう。」

満面の笑みで、答える。


「あたしの秘密。直哉君には教える。もうひとつの直哉君とあたしの秘密ね？」

ハルと、僕の……僕だけの……「秘密」

嬉しい気持ちと、こっぱずかしい気持ちが混じり合う。


「好き」

はっきりとそう感じた。
僕はハルが好きだ。
ハルが愛おしい。

「秘密。」

僕は呟き、照れながら笑った。














僕は、君と見た景色を今でも忘れてないよ。

僕は、君を守るってこの日心に決めたんだ。

なのに………。

ごめんね。ごめん。ハル。

僕は守りきれなかったね。

これからは僕がハルを支えるから。




どうか



いつまでも、僕の隣で笑っていてくれませんか？