最初で最後の恋〜君と過ごした時間〜
「え…?!も、もうしわけありませんっ!」
店員さんは、手に持ったアイスクリームを落としそうになった。

「いいんですよ…。ね?翔太。」

「あ……おう。」

翔太はぽりぽりと頭を掻きながら俯いた。

「あ、アイスクリームの味決まった?ハル。」

僕はハルに尋ねた。

「うんっ!」

ハルは僕に満面の笑みを向ける。


……可愛い。…凄く可愛い。
抱きしめたい。護りたい………。

「直哉…君?どうしたの?ぼーっとして?」

「あっ、ごめん。何味にするの?」

「あたしは、桜の塩漬けと、サクランボ味がいいなーっ。」

「それも美味しそうだね。僕はラムネ味とレモン味にするよ。翔太は?」

「俺は、マンゴーとグレープフルーツにする!りんごちゃんは?」

「あたしはーっ、うーんと、サツマイモ味とミント味にするよ☆」

「「「…………………(´ヘ`;)」」」


「ご注文はこれで、よろしいでしょうか?」

「はい、お願いします。」

店員さんは手際よく、アイスをカップに入れていく。

サクサクと、スプーンを突き刺し、僕らに手渡した。

「あそこのベンチで食べようか。」

「そうだね。」

僕ら四人は、ベンチに腰掛けた。

「では、実食!」

「うまぁっ!」

「わぁー!さっぱりしてて、いい香りで美味しい!」

「うま……。」

「サツマイモとミント…夢のコラボだわ!」

みんなで美味しさに驚きながら食べていた。

「……♪……♪」

ハルは鼻歌を歌っている。

僕は耳をすませる。

気分がいいのか、微笑んでいる。

ふと、ハルが歌手を夢見ていたことを思い出した。


「またこようね。」

ハルがにっこり僕らに笑いかけた。

「うん。」

「あったりまえでしょ!」

「もちろん!」

僕らは、それぞれの味のカラフルなアイスを食べて、同じ色の空で、同じ青春の風を感じた。
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